米国株式市場の動向を表す代表的な指標には、S&P500とNASDAQ100、CRSP US Total Market Indexの3つがあります。
今回はこの3つの指標の違いについて解説していきたいと思います。
※以降、CRSP US Total Market Indexを「CRSP(クリスプ)」と略します。
米国市場全てが対象かどうか

米国の代表的な株式市場は、ニューヨーク証券取引所(NYSE)とナスダック証券取引所(NASDAQ)の2つです(他にもいくつかあります)。
NASDAQ100は、NASDAQに上場する代表的な100社を対象にしています。NASDAQは世界最大の新興企業向け証券取引所で、GAFAM(Google, Apple, Facebook, Amazon, Microsoft)などのIT企業やハイテク企業が中心に上場しています。
S&P500は、NYSEやNASDAQ等の米国市場に上場する企業から、業種のバランスを加味して代表的な500社を対象にしています。
CRSPは米国市場で投資可能な銘柄のほぼ100%を対象にしています。
NASDAQ | S&P500 | CRSP | |
NASDAQ | 対象 | 対象 | 対象 |
NYSE他 | 対象外 | 対象 | 対象 |
対象銘柄数 | 100社 | 500社 | 約4,000社 |
時価総額カバー率 (対米国市場全体) |
約40% | 約80% | 約100% |

小型株を含むかどうか

NASDAQ100とS&P500は、それぞれ時価総額の大きい代表的な100社、500社を対象としているので、小型株は含みません。
CRSPは、米国市場で投資可能な銘柄のほぼ100%を対象としているので小型株も含みます。
NASDAQ100 | S&P500 | CRSP | |
小型株 | 対象外 | 対象外 | 対象 |
赤字企業も対象かどうか

NASDAQ100は、資本、時価総額、利益、キャッシュフローなどから構成される採用基準のうちどれか一つを満たすことが条件となっているので、赤字企業でも対象となることが可能です。
S&P500は、時価総額が82億ドル以上、流動性が高く、4四半期連続で黒字維持等のすべてを満たすことが条件となっているので、赤字企業は対象になりません。
CRSPは米国市場のほぼ100%の銘柄を対象とする指標なので、上場している限り赤字企業も対象です。
NASDAQ100 | S&P500 | CRSP | |
赤字企業 | 対象 | 対象外 | 対象 |

組入銘柄上位10社の割合

組入銘柄上位10社はS&P500とCRSPとで同じ、NASDAQ100とは8社が共通です。
ただし、構成銘柄数の違いから、組入銘柄上位10社が占める割合はNASDAQ100は50%、S&P500は28%、CRSPは23%と差があります。

パフォーマンスの違い

3指標のパフォーマンスを比較すると、NASDAQが大きくアウトパフォームしています。
S&P500とCRSPはほぼ同じ値動きをしています。

引用:Google Finance 青色はNASDAQに連動する米国ETF「QQQ」 エメラルドグリーンはS&P500に連動する米国ETF「VOO」 黄色はCRSPに連動する米国ETF「VTI」
米国株式に連動する投資商品

米国インデックスに連動する人気の投資信託は、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)、楽天・全米株式インデックスファンド、SBI・V・S&P500インデックス・ファンドの3本です。
なお、CRSPに連動する投資信託は、楽天・全米株式インデックスファンドの1本のみです。
米国インデックスに連動する投資信託(純資産300億円以上)
指標 | 商品名 | 純資産額 | 信託報酬 | 実質コスト |
S&P500 | eMAXIS Slim米国株式(S&P500) | 8,234億円 | 0.0968% | 0.124% |
CRSP | 楽天・全米株式インデックス・ファンド | 4,308億円 | 0.132% | 0.19% |
S&P500 | SBI・V・S&P500インデックス・ファンド | 3,997億円 | 0.0938% | 0.10% |
NASDAQ100 | iFreeNEXT NASDAQ100インデックス | 454億円 | 0.495% | 0.532% |
S&P500 | iFree S&P500インデックス | 419億円 | 0.2475% | 0.277% |
NASDAQ100 | eMAXIS NASDAQ100インデックス | 295億円 | 0.44% | N/A |
※純資産額は2021年11月19日時点。実質コストはそれぞれ2021年4月期、2021年7月期、2021年9月期、2021年8月期、2021年9月期の実績。eMAXIS NASDAQ100については、設定日が2021年1月のため実質コストは不明。
まとめ
IT企業・ハイテク企業に投資したい方はNASDAQ100、米国の代表的な企業にバランスよく投資したい方はS&P500、米国全体に投資したい方はCRSPがおすすめです。
