福利厚生として多くの企業で導入されている従業員持株制度。
私は新卒で入社して1~2年ほど入会していましたが、6年目のときに退会し、全て売却しました。
売却した理由は、一言で言えば「勉強不足」でした。
持株会に入会するか迷っている人の参考になるよう、私が持株会を退会し、自社株を全て売却した理由をご紹介いたします。
従業員持株会とは
従業員持株会は、従業員が給与・賞与から天引きで掛金を拠出して自社株を積立購入する制度です。
申し込んだ金額を毎月一定の日に購入し、賞与支給時は少し多めに追加購入をします。
拠出額は1,000円単位としている会社が多いと思います。
通常であれば自社株の売買はインサイダー取引となる可能性が高いのですが、この持株会については「一定の計画に従い毎月行う定時定額の買付け」と見做され、インサイダー取引の適用除外となっています。
会社にとってメリットが大きいため、奨励金を支給して従業員の入会を促しています。
例えば奨励金10%の場合、拠出額1,000円に加えて会社が拠出する奨励金100円と合わせて、毎月1,100円分の自社株を購入できます。
会社のメリット
- 安定した株主となる(買収されるリスクが小さくなる)
- 従業員の経営への関心が高まる
従業員のメリット
- 少額から購入可能
- 奨励金により会社からも資金拠出がなされる
- 自身の頑張りが株価に直結する可能性
退会理由①:パフォーマンスが悪かったから
売却を検討していた一番の理由です。
元々配当利回りが低い株式でしたが、マイナス金利導入(2016年~)の影響で銀行株は押し並べて低迷。
その後も回復することなく、奨励金を上回るほどの含み損を抱えていました。
持株会に加入する際は、奨励金があるから大丈夫だろうと思うのではなく、個別株への投資だと認識して、株価の将来性や配当の安定性・成長をしっかりと調べましょう。
退会理由②:リスクが集中しすぎだから
投資を勉強しはじめ、リスク分散の重要性を認識しました。
ふと自分の資産を見てみると、当時は他に金融資産がほとんどなかったので、ポートフォリオは持株会ほぼ100%でした。
これは、勤務先が倒産してしまった場合、給料やボーナスだけではなく、全資産まで同時に失ってしまうということです。
極めてナンセンスですね。
給料とボーナスは会社の業績に連動することを頭に入れて、ポートフォリオの大きな割合を占めないよう少額ずつ投資しましょう。
退会理由③:売買のタイミングに制限があるから
持株会はインサイダー取引の規制対象外とはいえ、購入(持株会への入会、拠出額の変更)や売却のタイミングには制限が設けられています。
特に売却の制限は大きく、①決算発表から一定期間以内かつ②会社内にインサイダー情報がないときに会社の承認を受けた後でしか売却できません。
人事部に何度も売却の申請をしましたが、悉く却下されてしまいました。会社内のどこかにインサイダー情報があったのだと思います。
結局、売却が承認されるまで大変時間が掛かりました。
なお、売却するときも指定された総合証券に証券口座を開設する必要があり、手間と時間が掛かりました。
終わりに
従業員持株会は、個別株投資の一つです。
個別株投資でしっかりとしたリターンを上げるためには勉強が必要です。
「奨励金が支給されるから」という安易な理由で入会してしまう前に、まずは投資の基礎を学び、自分の投資方針を決めましょう。