ビジネスマンにとって、簿記の知識は欠かすことができません。簿記3級、簿記2級を取得したいところではありますが、決算書を読むことができれば実務的には事足りることが殆どです。
そこで今回は、いわゆる財務三表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書)について何を意味しているのか、初心者向けに説明していきたいと思います。
なお、図や説明は単純化しておりますので、厳密な定義とは異なる場合がありますので予めご留意ください。
財務三表とは
次の3つの財務諸表のことを、「財務三表」と呼びます。略称で呼ばれることも多いので、覚えておくと便利です。
・ 貸借対照表(タイシャクタイショウヒョウ)、Balance Sheet、BS(ビーエス)
・ 損益計算書(ソンエキケイサンショ)、Profit and Loss Statement、PL(ピーエル)
・ キャッシュフロー計算書、Cash Flow Statement、CF

実際のものも見た方が理解が深まると思いますので、セブン&アイホールディングスの財務三表(2020年2月期)も例示したいと思います。(有価証券報告書より抜粋しています)
貸借対照表:BS
貸借対照表は、期末時点における会社の持ち物リストを表している資料です。リスト(BS)には、借金がいくらあるか等も含まれています。

資産は、お金を出して買ったものやこれからお金になるものです。すぐ換金できる”流動資産”と、すぐには換金できない”固定資産”に分かれています。
負債は、これからお金を払うものです。買掛金(購入元にこれから支払う代金)や借金などです。
資産と負債は、それぞれ流動資産と固定資産、流動負債と固定負債に分かれていますが、1年以内に換金できるもの(1年以内に払うもの)が流動資産(流動負債)、換金まで1年以上先のものを固定資産(固定負債)と区分しています。
純資産は、株主が最初に出したお金(「資本金」)や今までの利益(「利益剰余金」)などで、資産と負債の差額に相当します。
【セブン&アイホールディングスの連結BS】




損益計算書:PL
損益計算書は、1年間の利益を計算している資料です。そして、利益はいくつかの段階に分けて表示されます。

売上高:商品の引き渡し高、サービスの提供高
売上総利益(粗利益):直接掛かる費用のみを考慮した利益
営業利益:本業で稼いだ利益
経常利益:企業の継続的な活動によって生み出された利益
税引前当期純利益:1年間のすべての活動によって生み出された利益
税引後当期純利益:税金を反映させた利益
【セブン&アイホールディングスの連結PL】


キャッシュフロー計算書:CF
キャッシュフロー計算書は、1年間のお金の増減を表している資料です。「営業」「投資」「財務」の3つの活動内容にわけて記載されます。
営業CF:事業によって生み出された資金。
投資CF:設備投資や事業投資により流出した資金。資産や株式を売却したときはプラスで表示。
財務CF:借入により増加した資金。借入返済により減少した資金はマイナスで表示
(ご参考)
フリーCF:営業CFと投資CFの合計。会社が自由に使えるお金。
それぞれのキャッシュフローは、プラスで表されることもマイナスで表されることもあります。それぞれの場合の意味は下表のとおりです。
プラスの時 | マイナスの時 | |
営業キャッシュフロー | 本業がうまくいきお金が増えた | 本業がうまくいかずお金が減った(危険) |
投資キャッシュフロー | 資産売却によりお金が増えた | 設備投資、事業投資によりお金が減った |
財務キャッシュフロー | 借入によりお金が増えた | 借入を返済してお金が減った |
営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがマイナスの場合のイメージ図は次の通りです。

【セブン&アイホールディングスの連結CF】



終わりに
それぞれの財務諸表の意味やイメージは掴めましたでしょうか。少しでもみなさんのお役に立てれば幸いです。
今回例示したセブン&アイホールディングスの有価証券報告書はこちらよりご参照ください。PDF84ページ以降が財務情報です。